バラバラをまとめ、成果を生む「土台」の作り方
今の世の中で「多様性」という言葉をよく耳にします。様々な考え方や背景を持つ人が集まることで、新しいアイデアや大きな力が生まれる、と期待されています。しかし、実際に色々な人が集まるチームを動かすのは、簡単なことではありません。ただ人が集まっただけではバラバラでまとまらず、仲が良いだけでは井戸端会議で話が進まない。「結局、一人でやるのが一番楽」と感じてしまうこともあるでしょう。
では、どうすればこの「多様性」を本当に活かし、チームとして最高の仕事ができるのでしょうか?大切なのは、活動を始める前の**しっかりとした「土台作り」**です。
1. 「多様性」を活かすための共通の出発点
チームがうまく動くための最初のステップは、「こうしよう」という約束事をハッキリさせることです。これは単に決まりを作るだけではありません。様々な経験を持つメンバーが、それぞれの知識や見方から今の状況をよく見て、深く話し合うことで、みんなが同じように物事を理解し、受け止めることができるようにします。
例えば、この仕事のゴール、誰に喜んでもらいたいか、使えるものや時間、そして「多様性」そのものについて、チームとしてどう捉えるか、といった基本的なことをここで話し合って揃えます。こうすることで、みんなが同じスタートラインに立ち、ちょっとした認識の違いから起こる揉め事を未然に防ぐことができます。
2. 「自分たちの目標だ」と思える目的を一緒に決める
次に大切なのは、「これを成し遂げよう」という目的をハッキリと定めることです。ここでも、様々な意見を積極的に取り入れ、みんなが目的を決める話し合いに加わることがとても大事です。ただ上から目的が降りてくるのではなく、それぞれの期待や心配事を出し合い、何度も話し合うことで、目的がもっと具体的で、本当に達成できるものへと磨かれていきます。
メンバー自身が目的を決めることに深く関わることで、その目的を「自分たちの目標だ」と強く感じられるようになります。こうして、ただ「やらされている」のではなく、全員が同じゴールに向かって自ら動けるチームが生まれるのです。
3. 良い意見と良くない意見を区別する
「三人寄れば文殊の知恵」と言いますが、それは無秩序な意見の羅列から生まれるわけではありません。チームで何かを進める上で、「反対意見」の扱いはとても難しいものです。大切なのは、「前向きな反対意見」と「ただの文句」をハッキリと見分けることです。
最初に決めた約束事や目的に合わない意見、あるいはただ感情的に反対するだけの意見は、チームの邪魔になる「ただの文句」です。これらは必要に応じて、方向を修正したり、やめてもらったりすべきです。
一方で、決めた約束事や目的の範囲内で、もっと良いやり方や別の考え方を提案する意見は、たとえそれが今ある案への「反対」の形であっても、積極的に受け入れ、深く話し合うべき「前向きな反対意見」です。これこそが「多様性」から生まれる本当の価値であり、チームを成長させ、もっと良い結果へと導きます。
まとめ:ぶつかり合いを恐れず、話し合いから生まれる強いチームへ
様々な人が集まることは、確かに難しさを伴います。しかし、上記のような「土台作り」を丁寧に行うことで、それぞれの違いを良い方向に活かし、チームとしての力と新しいものを生み出す力を最大限に引き出すことができます。
ぶつかり合いを恐れず、むしろ良い話し合いを通じてみんなで共通の土台を作り、ハッキリとした目的に向かって進むこと。これこそが、複雑な今の時代に「多様性」を本当の強みとするチーム運営の秘訣と言えるでしょう。
あなたのチームでは、この「土台作り」はどこまでできていますか?